[BMJ] 結婚の効能 婚姻生活はアルツハイマーを防ぐ

「結婚は人生の墓場だ」こうした言葉の解釈をめぐっては、いろいろな意見があり(教えてGoo)、墓場が悪いものだとは限らない。また、ずっと以前に知の冒険ではCDCのレポートに書かれた結婚の効能を取り上げた(結婚の効能)。

元気に暮らしていたおじいちゃん、おばあちゃんがパートナーの死を契機に、ボケボケ老人へと様変わりしてしまうことは少なくない。Vaxjo University(スウェーデン)のHakansson K氏らは、東部フィンランドのヨエンスー地域で無作為抽出した1449名について、1972年、1977年、1982年、1987年の婚姻状況(パートナーの有無、死別、離婚)とその後(平均21 年後)の婚姻状況および認知症の進展を調査した。

結果、中年期(平均50.4歳)に人生のパートナーと同居していた者は、夫と死別あるいは中年期に離婚して一人暮らしをしていた者よりも65~79歳時にアルツハイマー病を発症している頻度が3倍高く、中年・高年死別者は、ずっとパートナーとの同居生活を続けている者に比較してアルツハイバー病のリスクが7倍(1.6-40)高いことがわかった。また、最もリスクが高かったのは、アポリポ蛋白(脳内でグリア細胞が作る蛋白で、脂質を血液中で運ぶ働きをする)のε4遺伝子型をもった人であった。

本結果は、知的・社会的活動性が認知症防止に役立つという「brain reserve hypothesis」を裏付ける調査結果である。また一方で、アポリポ蛋白の多型がリスク増加につながることを示したものでもあるだろう。

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PMID: 19574312
BMJ. 2009 Jul 2;339:b2462. doi: 10.1136/bmj.b2462.
Association between mid-life marital status and cognitive function in later life: population based cohort study.

なにかとストレスもある結婚生活ではあるが、結婚生活を続けることはあながち悪くないのではなかろうか。