[LANCET] 死ぬ前の治療実態 ー 2割の患者は死の1ヶ月前に入院手術を経験

lancet-surgical care at the end of life

人生の終わりに、多くの患者が病院や集中治療室のお世話になることはよく知られるところだが、この期間中の外科的手術治療のパターンはよく分かっていない。

ハーバード大学のKwok AC氏らは、2008年に亡くなった65歳以上の米国における出来高払いのサービスメディケア受給者を対象に後ろ向きコホート研究を行った。

1,802,029名のうち、31.9%が死亡する前の1年以内に手術を受けており、1ヵ月以内に手術を受けたのは、18.3% (18.2-18.4; 329,771 of 1,802,029)、1週間以内の手術経験は8・0% (8.0-8.1; 144,162 of 1,802,029)に上ることがわかった。

そして、一人当たりの病床数が多い地域では人生の最後に外科手術を受ける確率は高く、メディケアの支出も多かった。

EOLSI score in the highest intensity region (Munster, IN) was 34・4 (95% CI 33・7-35・1) and in the lowest intensity region (Honolulu, HI) was 11・5 (11・3-11・7).

米国の多くの高齢者は、彼らの死の前に年に手術を受ける。そして、手術を受けるかどうかは地域や年齢により大きく異なり、これには最後に外科的介入を行う医療従事者の判断に

彼らは手術を受ける速度は年齢と地域で大幅に変化し、人生の最後に外科的に介入する医療従事者の判断・裁量によるところが大きいのかもしれない。

PMID: 21982520
Lancet. 2011 Oct 15;378(9800):1408-13. Epub 2011 Oct 5.
The intensity and variation of surgical care at the end of life: a retrospective cohort study.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?cmd=search&term=21982520

何とか助けようとして手術をするのでしょうが、無駄と分かっていても手術を医療者側あるいは、親族が拒否するのはなかなか難しいものだと思います。

死を間近に、体にメスをいれることなく最後の数週間、数ヶ月をゆったりと過ごしたい、すごさせてあげたいと個人的には思うのですが、人生の最後をどのように迎えるのか、医療が発達したことによりあきらめの限界を見定めるのが難しくなっているように思います。