スウェーデン式アイデア・ブック [書籍]

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旧知の冒険での記事を一部修正して再掲載(2006年05月05日)

情報考学Passion For The Futureで見かけて購入してみた本の中にスウェーデン式アイデア・ブックという本がある。
本当に1時間ほどで読めてしまう手軽さだが、書かれている内容は奥が深い。

■「囚人用のベビーフード」

たとえば、面白いと思った話として「囚人用のベビーフード」のアイデアが紹介されていた。フロリダ州のある町で刑務所で過ごすことが「クール」で「マッチョ」なことだとして若者間では仲間に自慢できることになっていた。羽目をはずす学生たちに手を焼いた警察は当初、罰則を厳しくするなどの対策を採っていたがいつまでたっても改善されない。

そこで考えたのが、「ベビーフードを与えること」だった。学生たちを一人前の大人として扱わずに子ども扱いをすることで、留置所経験が仲間たちに自慢できるものではなく、恥ずかしい経験になるように発想したのだ。

このように別の角度からものをみる面白さ、大切さを教えてくれる。

■アイデ・アノルマ

このほかにも、優れたアイデアを持ち数多くの発明をしたエジソンは「アイデア・ノルマ」を課していたという話が第5話に載っている。本書は、自分にノルマを強いてアイデアを考えてください、と問いかける。


自分にノルマを強いてアイデアを考えてください。問題1つに対し50通りの解決案を考えてください。その多くは、余り良いアイデアではないかもしれません。また、最初にひらめいたアイデアが必ずしも1番良いアイデアであるとは限りません。複数の問題に対し複数の解決策を考えるという訓練をしましょう。「他にもこの問題の解決方法があるだろうか」と問いかけ、新しい案が少なくとも3つ浮かぶまで考える癖をつけてください。問題の解決には、必ず複数の方法があるということを忘れないでください。

■アイデアは潰されやすい

そして、第8話には、「アイデアは潰されやすい」ので、アイデアを提案して却下されても落胆しないでください、そして、人になんと言われようとアイデアのために戦ってくださいと書かれていた。

これを読んで、アイデアを抱えながら反対派を説き伏せてまでアイデアの実現を目指すパワーを持っていない自分を反省し、そして、日々の時間に追われ、アイデアを考えなくなりつつあることに気がついた。

本書は、何気ないメッセージにセンスのよい挿絵が添えられ、読む人それぞれの環境や立場、そのときの心理状態でさまざまな解釈ができそうなところが、一時期はやった「チーズはどこへ消えた」という本を思いおこさせた。

繰り返し目を通すことで、人生経験に応じて新しい視点を感じそうな、そんなところが似ている。

アイデア・ブック スウェーデン式は、北欧デザインの絵本としても楽しめる本であった。