[Diabetes Care] メタボの存在が2型糖尿病発症リスクを増加させる 

内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態、メタボリックシンドローム(MetS)の基準には、各国間で相違もあり、また賛否両論ある考え方だが、MetSが心血管疾患のリスクであることは間違いの無いことであろう。

しかし、MetSの多くの議論は欧米人における検討であり、東洋人での検討は十分でなく、また、空腹時血糖異常(IFG)と2型糖尿病のどちらがより有効な指標になるのかははっきりしていなかった。そこで、地域コホート研究で実績をもつ、九大グループでは福岡市郊外の久山町住民を前向きに調査した研究をもとに、11.8 年間(平均)追跡できた1,935名(試験開始時の年齢40~79歳、男性793名、女性1,142名)を対象としてMetSとIFGのどちらがより有効な指標になるか調べた。

その結果、追跡期間中に286名が2型糖尿病を発症し、その発症リスクは、MetSでない男性に比べてMetSの男性は2.58倍(95%信頼区間:1.85~3.59)、女性では3.69倍(2.58~5.27)高いことがわかった。また、MetSもIFGもない被験者に比べ、MetSのみを認める場合の2型糖尿病のリスクは、2.37倍(1.45~3.88)、IFGのみを認める場合は3.49倍(2.57~4.74)、MetSとIFGの両方を認める場合は6.76倍(4.75~9.61)高いものであった。また、IFGの有無に関わらず、MetSの構成要素が増えるに従って2型糖尿病のリスクは大いに上昇した。

これらの知見は、2型糖尿病の発症リスクを見極める上でMetSが有用な指標になることを示唆している。

⇒PMID:19729523
Impact of metabolic syndrome compared to impaired fasting glucose on the development of type 2 diabetes in a general Japanese population: the Hisayama Study.
Kyushu University : 日本 Mukai N et al.
Diabetes Care. 2009 Dec;32(12):2288-93. Epub 2009 Sep 3.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?cmd=search&term=19729523