[Current Biology] 赤ちゃんの泣き声は生まれたときからママ譲り

 胎児が母体の外部の音を記憶し、母親の声やイントネーションを認識することはこれまでにも報告されていたが、その違いを音声で表現できるかどうかはわかっていなかった。今回、Max Planck Institute for Human Cognitive and Brain Sciencesの研究者らは、フランス語を話す家庭とドイツ語を話す家庭、各30人の赤ちゃんについて泣き声を録音し、その音声を分析し、生後3日~5日の段階ですでに母国語のイントネーションで泣くことを見出した。

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 一般にフランス語は上り調子の抑揚を持つのに対してドイツ語は下り調子の抑揚を持つ。そして、フランス語を話す家庭で生まれた赤ちゃんは、生後すぐにフランス語特有の上り調子のアクセントで泣き、ドイツ語を話す家庭で生まれた赤ちゃんは、生後すぐにドイツ語特有の下り調子の抑揚で泣くのだそうだ。
  
 研究者の見解によると、胎児や乳幼児がメロディを感じ取って、それを再現できるという事実は、人間の言語学習のプロセスがすでに母体内から始まっていることを示しており、乳幼児の泣き声など発声を分析することで、人間の祖先が言語を生み出すようになった仕組みの解明にも役立つかもしれない。また、今回の結果は、おなかの中の赤ちゃんを音楽や親の声でなだめることができるという意見を支持するものである。
  
▼Press Release
Babies with an accent

▼Discovery news
Newborns Pick Up Language in the Womb
http://dsc.discovery.com/news/2009/11/06/newborn-language.html

▼Current Biology, 05 November 2009
Newborns’ Cry Melody Is Shaped by Their Native Language
http://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822(09)01824-7