
個々の社会経済的なポジション(教育、社会階級、社会的状態、収入)が死亡率と関連するといわれてきたが、家族におけるパートナーの死亡率に対する影響ははっきりしていなかった。そこで、ストックホルム大学(スウェーデン)のErikson Rらは、1990年の国勢調査と1991~2003年の死亡統計を基に、配偶者と同居し、仕事を持つ30~59歳の男女 150万人について調べ、Cox regression解析により相対リスクを評価した。
その結果、全死亡率には、男女ともに女性の教育や社会的状態、男性の社会クラスや収入によって違いがみられた。男性にとって妻の教育は、自身の教育以上に死亡率に対して重要な意味をもっていた。一方、女性にとっては、夫の職業に基づく社会的地位が自分自身の職業的な地位よりも、死のリスクを決定する上で重要な意味合いを持っていた。
女性の教育と男性の社会的地位が高いことは、夫婦がともに長生きするうえで大きなプラス要因になると思われる。今回の結果について、著者らは伝統的に家事に責任を負うことの多い女性が家族全員のライフスタイルに影響を与えるため、このことが、女性の教育レベルが高いことと夫の死亡リスクが低減することにつながっているのかもしれないと考察している。
本結果は、2009年10月6日に「疫学・地域保健ジャーナル」のOnline Firstに公表され、ロイター通信が10月7日のニュースで取り上げた。
▼PMID: 19808710
J Epidemiol Community Health. 2009 Oct 6. [Epub ahead of print]
Marital partner and mortality: The effects of the social positions of both spouses.
▼J Epidemiol Community Health
http://jech.bmj.com/
* ここでは、便宜上、「賢い妻」と表現したが、学歴が高い=賢い妻とは限らないことをお断りしておく。