
滋賀医大の研究グループは、血小板コラーゲン受容体を持たない人が存在し、その理由は血小板コラーゲン受容体を攻撃する自己抗体を持つためであることに着目し、自己抗体の再現実験を進めていた。
通常、血管が傷つき血管内壁が損傷を受けることで血管壁を構成していたコラーゲンが露出し、このコラーゲンが血小板表面にあるコラーゲン受容体と結合することで止血される。ところが、心筋梗塞や動脈血栓症などで血栓ができる場合、コラーゲンが過剰に供給されることで凝固反応が進みすぎてしまう。
今回、Takayamaらは、サルを用いた実験で、血小板コラーゲン受容体を消失させる抗体を再現することに成功し、この抗体は血栓誘発マウスモデルで、血栓予防効果を確認した。
従来の血小板機能を抑制して血液凝固を止める薬では、凝固を抑えるあまりに出血を助長してしまうというリスクもあったが、今回彼らが作成した抗体を治療薬として用いることができれば、出血リスクの少ない抗血栓薬が実用化できるかもしれない。
▼【J. Clin. Invest. doi:10.1172/JCI32513. 】
A novel antiplatelet antibody therapy that induces cAMP-dependent endocytosis of the GPVI/Fc receptor γ-chain complex
まず、血小板コラーゲン受容体を持たない人がいるということを知り、へえ~っと思ったものである。
非常に面白い研究成果で今後に期待したいが、実用化という面では、まだまだコスト削減面での大きな、大きな壁があるように思えるのであった。