[Nat Med] 抗アレルギー薬開発の新たな糸口か?;SOCS-3

NatureMedicine 9(8)1047-,2003に東京理科大学生命科学研究所のSekiらが「SOCS-3はTh2を介したアレルギー反応の発症と維持を制御する」と報告した。彼らは、SOCS-3の発現が喘息とアトピー性皮膚炎の病態に深く関連し、さらにアレルギー患者の血清IgEレベルとの間に高い相関があることを示した。

SOCS-3を恒常的にT細胞に発現させたトランスジェニックマウスでは、Th2反応が増強しており、気道過敏性モデルの系において喘息に特徴的なさまざまな病態を呈した。対照的に、ドミナントネガティブSOCS-3変異体トランスジェニックマウスおよびSocs3のヘテロ接合性欠損をもつマウスでは、Th2反応が減少していた。

▼PMID:12847520
Nat Med. 2003 Aug;9(8):1047-54. Epub 2003 Jun 29.
SOCS-3 regulates onset and maintenance of T(H)2-mediated allergic responses.


 

近年、アレルギー疾患においてTh1からTh2タイプへシフトするのにどのような分子メカニズムが関わっているかが注目されている。サイトカインシグナル抑制因子(SOCS)ファミリーのメンバーは多くの炎症性疾患の病因に関わっているとされる。

彼らの発表したデータは、SOCS-3がTh2を介したアレルギー性免疫疾患の発症と維持を制御していることを示しており、Nature編集部のコメントによるとSOCS-3が抗アレルギー剤の開発において新たな治療の標的となる可能性を示唆している。

「抗アレルギー薬」という響きは、なんだか胡散臭さを感じさせてしまうが、アレルギー体質を説明するひとつの研究としても興味深いのではなかろうか?