[J Appl Physiol] 重症喘息患者ではエアートラッピングが存在

喘息の5~10%は治療になかなか治療に反応せず、重症例となってしまう。このような重症喘息は喘息の罹患率や死亡率、医療保険の利用と関係してくる。軽・中等症と重症喘息には、なにか大きな違いでもあるのだろうか?

ウィスコンシン大学のSorkness RLらは、重症喘息患者の気道閉塞は、軽・中等症とは異なる何か生理学的な特徴があるのではないかと考え、研究を進めることにした。

米国重症喘息研究プログラム(SARP: Severe Asthma Research Program)に参加している重症喘息患者287人と軽症・非重症喘息患者382人を対象に肺活量や排気量、気道閉塞の生理学的特徴を調べた結果、重症喘息患者ではエアートラッピング(air trapping)と呼ばれる現象が多く発生し、肺での十分な呼吸換気ができていないことがわかった。

エアートラッピングとは、呼気が終了しないうちに末梢気道が閉まってしまい、空気が肺胞内に取り残される現象のことである。このような現象があると呼吸をしているのにいつまでも苦しい状態が続くことになる。

また、重症喘息患者では、気管支拡張剤によって強制的に気道を広げようとしても、気道閉塞の回復は不十分であった。
【Health Day】Severe Asthma Unlike Mild Asthma
【PMID: 17991792】J Appl Physiol. 2008 Feb;104(2):394-403.
Lung function in adults with stable but severe asthma: air trapping and incomplete reversal of obstruction with bronchodilation.